就職・転職活動の際に重要な役割を果たすのが、自身の経験や強みをアピールできる「職務経歴書」です。電気主任技術者として転職を考えている人の中には「どう書けば自分自身をアピールできる内容になるのか?」と悩んでいる人も少なくないでしょう。そこで今回は、電気主任技術者の職務経歴書の書き方やポイントを紹介します。
今や就職・転職活動に必須の職務経歴書とは
就職・転職活動をするにあたって、今や「職務経歴書」は履歴書と同様になくてはならない書類と言えます。一方で、「どんな内容の書類なの?」と疑問を持つ方も少なくありません。まずは、職務経歴書の概要から見ていきましょう。
職務経歴書とは仕事面に特化したPR書類
「現在までに経験した職業において、具体的な仕事内容や役職、実績・スキル」をひとつの書類で説明できるのが、職務経歴書です。
職歴と併せて自身の得意分野や強みを詳細に書けるため、応募する企業に対して有用な人材であると自己PRすることが可能です。採用する企業側も、履歴書だけでは把握しきれない応募者の能力や資格、経験を知ることができる職務経歴書を重視するため、就職・転職活動において重要な書類と言えるでしょう。
職務経歴書と履歴書の違いは伝える内容
両者の違いは、書類を通して伝える内容にあります。多くの場合、履歴書はフォーマットが一定であり、氏名や年齢、学歴や職歴、資格などの「必須項目」と、趣味や自己PRなど任意で記載する「任意項目」に分かれています。
一方職務経歴書は、履歴書ほどフォーマットが決められていません。これまでの業務経験や、入社後に仕事で活かせる知識、スキル、資格などをアピールできます。そのため、両者を混同しないよう注意しましょう。
電気主任技術者が職務経歴書を書く前に必要な準備
実際に職務経歴書を書くにあたり、事前の準備は不可欠となります。書くべき内容が不足していては、企業に対して十分なアピールができない恐れがあるためです。ここからは、職務経歴書を作成する上で、電気主任技術者が行うべき作成前の準備について解説します。
希望する企業が提示する募集要項の確認
まずは、希望する企業の提示している募集要項をしっかりと把握しましょう。企業が求める人物像をきちんと理解できていなければ、せっかくの強みもアピールしきれない可能性があるためです。
たとえ素晴らしいスキルや経歴を持っていたとしても、会社側の需要に沿うものでなければ「ミスマッチ」と判断されかねません。そのような事態を防ぐためにも、募集要項を理解した上で、自分のアピールできる強みを取捨選択する必要があるのです。
過去の設備管理関連の経験・実績の分析
募集要項を十分に理解した後は、「自身の過去の経験・業務」の分析をしましょう。電気主任技術者の業務内容は多岐にわたり、資格によって携われる業務内容や規模の大きさも異なるためです。
携わった電気設備工事の件数や規模、点検、保安、修理業務の経験などを応募先の企業に合わせて、記載することで職務経歴書の内容を充実させることに繋がります。
希望する企業と自分の経験との接点の把握
職務経歴書は、応募先の企業に対して自分を売り込むための大切な要素となります。「自分を採用すべき理由」「自分が入社した際に貢献できること」を書類を通して伝えるために、自分の経験と企業との接点を見つける必要があります。
そのため、希望する企業の業務で求められる能力と自分の経験・スキルなどがどのように合致しているかを把握しましょう。
また、企業はスキルだけでなく「人柄が合致しているか」も見極めています。自分の人柄が企業にふさわしいと伝えられるように、あらかじめ接点を見つけておくことも有効です。
職務経歴書の書き方もフォーマット化されつつある
決まった形式がなく明確な書き方がない職務経歴書ですが、近年ではいくつかのタイプでフォーマット化されています。ここからは、近年主流となりつつあるフォーマットについて解説します。
職務経歴書は基本的に書き方の決まりはない
実は、職務経歴書を作成する上で盛り込んだ方が良い内容はあるものの「こう書くべき」という決まりは特にありません。そのため、本人の裁量で自由に書くことも可能です。
ただ、大まかな目安は原則として「A4用紙2枚程度」にするべきとされています。枚数が多すぎる職務経歴書ではアピールポイントが掴み切れず、目を通す担当者の負担になってしまうため、「2枚程度が望ましい」とされています。 要点をまとめても2枚以上になってしまう場合は、読みやすさを意識しておけば問題はありません。
フォーマット化されつつある3つの基本型
職務経歴書においては、主に3つの基本型が存在します。以下は、フォーマット化されつつある3つの型のそれぞれの特徴です。
【編年体形式】
これまでの職務経験や得たスキルを過去から現在の順に記載する履歴書と同様の形式です。最も基本的で読みやすいとともに、成長の過程が分かりやすいというメリットがあります。
【逆編年体形式】
時系列で書く編年体形式とは逆に、最も新しい職務の内容から過去にさかのぼって経歴を記載していく形式です。希望する企業の募集要項が直近の仕事内容と類似する場合や、直近のスキルや仕事をより効果的にアピールしたい場合に適しています。
【キャリア形式】
この形式では、他の2つとは異なり「時系列」ではなく「経験した仕事ごと」にまとめます。特定のキャリア、実績をアピールしたい時に適しており、時系列でまとめる必要がないため、転職回数が多く時系列順では書きにくい方にとってもおすすめの形式と言えるでしょう。
電気主任技術者におすすめしたい書き方の基本型
先ほど紹介した3つの基本型のうち、電気主任技術者に適した型は、希望先の企業の業務内容や自身の経歴で何を一番アピールしたいのかによって変わります。
転職回数が少ない場合や、習得した技術を時系列で提示したいならば編年体形式を、企業の業務内容が直近の職場での仕事と類似しているなら逆編年体形式で書くと良いでしょう。また、転職回数や経験した職種が多い場合は、キャリア形式を選択すると適した職務経験をアピールしやすくなります。自身の経歴と企業の業務内容を照らし合わせて型を選ぶのがおすすめです。
電気主任技術者の職務経歴書・各項目の書き方
電気主任技術者の職務経歴書について、各項目の記入例を紹介します。併せて、各項目においてどんな書き方をすべきか解説していますので、ぜひ職務経歴書を作成する際の参考にしてみてください。
「職務内容」:見やすさと具体性が大切
【記入例】
平成△年4月~平成〇年10月
所属:□□株式会社電気工事課
メンバー数:20名
役職:電気主任技術者
職務内容:電気工事における現場監督業務・電気設備の保安と点検、修理、更新・その他雑務
まず目を通されやすい「職務内容」では、見やすい書き方と具体性が重要です。現在の、もしくは直近で勤めていた職場の基本情報と併せて、自身の役職や職務内容を具体的に記入します。詳細な業務経験は別の項目でも記入できるため、ここではあくまで概要の紹介に留めておきましょう。
「仕事へのスタンス」:自身の向き合い方をアピール
【記入例】
私は、常に「責任感」を持って仕事に向き合っています。電気設備の仕事は、一つのミスや不具合の見落としが重大な事故につながり、人々の生活や仕事に影響を及ぼしかねないものです。そのことを常に忘れず、点検業務や維持業務を真剣に行っています。今後も、電気設備に携わるプロとしての自覚と責任を持ち仕事に取り組む所存です。
電気主任技術者としての仕事の向き合い方を、自身の言葉でアピールしましょう。企業側にとってスキルや経験だけでは測れない人柄や価値観を評価する材料となり得ます。
「主な経験業務」:経験や実績を端的にまとめる
【記入例】
・電気設備の点検業務を〇年経験
・電気設備周辺の清掃業務を〇年経験
・故障対応(電気工事士の手配・修理工事の立ち会い、監督業務)を〇年経験
・●件の電気工事に現場監督として従事、完成した電気設備の保安・維持業務を経験
電気主任技術者として携わったことのある業務を簡潔に書き出します。併せて、経験年数や工事件数など具体的な実績としてアピールできるものがあれば記載しましょう。希望先の企業にとって有用なものがあれば、評価につながります。
「習得技術」:希望する企業の関連資格は網羅
【記入例】
取得資格:第一種電気主任技術者(平成△年◇月取得)
危険物取扱者乙種第4類(平成△年〇月取得)
二級ボイラー技士(平成△年×月取得)
習得技術の項目では、これまでの職歴を通して身に付けたスキルを記入します。持っている資格を記入することで、希望する企業に能力を証明することができます。特に、希望する企業が特定の資格保有者を求めている場合は、大きなアピールポイントになるので必ず記載しましょう。
「退職・転職理由」:ネガティブな内容なら「一身上の都合」でOK
【記入例】
平成△年 4月:□□株式会社 入社
平成〇年 10月:一身上の都合により退職
ネガティブな内容の場合、「一身上の都合」と記載しておくだけでも問題ありません。
例えば「遠方への移住」や「家族の世話」などやむを得ない事情や、「職場での対人関係」「キャリアアップしたい」など、個人の事情による自己都合退職と判断される場合、「一身上の都合」と記載できます。ただ、会社都合や契約期間満了の場合は、その旨を記載するようにしましょう。
電気主任技術者が職務経歴書を作成する際のポイント
次に、電気主任技術者が職務経歴書を作成する際のポイントについて紹介します。職業問わず気を付けるべき点はもちろん、電気主任技術者ならではの注意点もあるため、以下の項目はしっかりチェックしましょう。
技術職はスキルの高さが重要視される
電気主任技術者のような専門性の高い技術職は、「スキルの高さ」が重要視されます。そのため、希望先の企業にとって自身が有用な人材であると伝えるために、知識や経験によって培ったスキルがあることを存分にアピールできると良いでしょう。
例えば、携わった工事の内容や担当分野、成果などを記載するのがおすすめです。また、具体的に業務において使用したことがあるツールや機械について言及するのも、スキルの高さをアピールすることにつながります。
どの項目においても簡潔かつ具体性が大切
職務経歴書においては、内容はもちろん「読みやすさ」も重視すべきポイントです。内容が良くても、文章が冗長で読みにくかったり、専門用語が多く難解だったりすると、伝わりづらくなりかねません。
職務経歴書に最初に目を通すのは、多くの場合企業の採用担当者です。時には、採用担当者が電気主任技術職について知識が浅い場合もあるでしょう。そのため、専門的な知識がなくても内容やアピールポイントが理解できるように、わかりやすく記載することが不可欠です。
工事の内容やそこでの役割・実体験はアピールできるポイント
工事の内容や役割、そして実体験のエピソードは、その人ならではのアピールポイントとなります。
例えば、業務上で心がけたことや、工事を円滑に進めるために取り組んだことなどを伝えると、スキルだけでなく仕事への姿勢に対する評価にもつながります。
また、工事は時に不測の事態に見舞われることも少なくありません。その際に、どのような対応をしたのか実体験を伝えることで、臨機応変に対応できるという強みを示すこともできるでしょう。
協力して作業にあたれることも企業には評価される
電気主任技術者が携わる電気設備関係の工事や保安業務は、複数人で共同作業をすることも多い仕事です。そのため、協調性やコミュニケーションスキルを発揮して仕事をした経験を伝えると、企業側にとって好印象となりやすいでしょう。
また、電気主任技術者は、業務において工事現場の監督を担い、他の社員をまとめるケースも多いため、企業は「円滑にコミュニケーションを取れる人材」を求める傾向にあります。そのため、他の人と協力して作業に取り組める姿勢は大きなアピールポイントとなります。
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職務経歴書を提出する前に確認したいこと
職務経歴書は書けた後も企業に提出するまで内容を入念にチェックしましょう。万が一、職務経歴書に不備があった際にはマイナスの印象を与え、採用の合否にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、経歴や経験した職務の記載漏れや在籍期間、記載内容の誤り、など、全ての情報にミスがないかしっかり確認しましょう。また、資格の取得年月も見落としがちなので、必ず正確な情報を記載しましょう。
職務経歴書・提出時に気をつけたいマナー
職務経歴書の内容が素晴らしくても、提出時のマナーをおろそかにしてしまっては、企業にマイナスの印象を与えかねません。ここからは、経歴書を提出する際に気をつけたいマナーについて解説します。
郵送での提出の場合
郵送の際は、書類を全てクリアファイルに入れてから封筒に入れましょう。折れ曲がりや郵送時に汚れてしまうのを防げます。また、「送付状(添え状)」の同封は欠かせません。氏名や連絡先、郵送の目的に加え、志望動機や実績などを簡単に書いておくと、経歴書を読む前に興味を持たれやすくなるでしょう。
そして、郵送前には必ず職務経歴書のコピーを取り手元に残しましょう。採用担当者は職務経歴書を元に面接を行うため、一貫した答えを出せるように備えましょう。
メールでの提出の場合
経歴書をメールで送付する際に大切なのは、「一目見て応募書類であると分かるメール」にすることです。
件名には必ず「○○○職応募の件/氏名(フルネーム)」もしくは「履歴書・職務経歴書ご送付の件/氏名(フルネーム)」などと具体的に記入しましょう。採用担当者が件名をみるだけで内容が分かるようにしておく必要があります。
そして、送付の際には書類が添付されているかを確認すると共に、担当者が返信しやすいように本文内に自身の署名がきちんとあるかも確認しましょう。
面接時に持参する場合
面接時に経歴書を持参する場合も、封筒に入れる前に必ず書類をクリアファイルに入れておきましょう。封筒の中で書類が折れ曲がってしまうのを防げます。
渡す際は企業側に提出を求められてから、必ず自身で封筒から取り出し、封筒の上にクリアファイルを重ねて提出します。この時、受け取る面接官が読める向きにして書類を渡しましょう。さらに、両手で差し出しつつ「本日はよろしくお願いいたします」などと一言添えるとより丁寧です。
電気主任技術者の職務経歴書では自身の工事経験やスキルなどをしっかりアピールしよう
電気主任技術者が職務経歴書を書く際は「自身の工事経験や実績」と「身に付けたスキル」をしっかりアピールしましょう。電気主任技術者の仕事では実務経験が重要になるだけでなく、持っている資格によっても携われる仕事の範囲が大きく異なるためです。
そのため、職務経歴書においては志望動機や仕事に対する考え方はもちろん、実際に何ができるのか、どんな能力があるかを正確に提示しましょう。「これだけの経験や技術、熱意があれば活躍できる」と認められれば、採用への大きな足掛かりとなります。
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